家電量販店の2022年度売上は前年割れか|前編~3月の販売状況をみる~
家電量販店5社の3月の月次売上速報が出揃いました。
3月といえば新入学や新社会人、
新年度に向けた勤務地変更などで
新生活需要が盛り上がる時期です。
家電量販店にとっても
夏と冬のボーナス商戦に次ぐ家電の需要期でもあるのです。
では、3月の販売状況はどうだったのでしょうか。
3月の販売状況は厳しい結果に
次の表は各社の月別前年同月比を
2022年4月から2023年3月まで、
時系列でまとめたものです。
最終列は2022年度累計ですが、
ビックカメラとコジマは決算月が8月のため、
3月末時点の年度累計は公表されていません。
3月の売上高はビックカメラを除いて、
いずれも前年割れとなりました。
コロナ禍での需要増に伴う反動減という見方もありますが、そうとは言い切れない面もあります。
2022年3月の月次速報では
ケーズHDが前年同月比101.0%でしたが、
その他の4社は前年割れとなっていました。
2022年3月と2023年3月の前年同月比を見ると、
エディオン:99.8% → 97.2%
ケーズHD:101.0% → 94.4%
上新電機:93.9% → 96.1%
ビックカメラ:95.8% → 104.2%
コジマ:96.4% → 87.8%
ケーズHDを除く4社は、
前年の2022年3月時点ですでに反動減が生じていた
といってもよい状況だったことが分かります。
では、
月ごとの推移をグラフで見てみましょう。
2022年中盤以降はビックカメラが好調に推移し、
後半以降はコジマの売上減少が目立つような形になっています。
22年度累計ではエディオンが前年横ばいで、
ケーズHDと上新電機が前年実績を下回りました。
3月期決算の3社の2021年度累計と2022年度累計を見ると、
エディオン:93.7% → 100.0%
ケーズHD:93.4% → 97.6%
上新電機:92.1% → 99.1%
1年前よりも売上高はエディオンで横ばい、
ケーズHDと上新電機では減少しているのです。
つまり、
一時的な需要の増減を考慮しても
家電需要自体が減少しているのではないか
と考えられます。
3月は主要商品の売上高が軒並みダウン
次の表は各社の主要商品・カテゴリー別売上高を月別に並べたものです。
3月の列を見ると
赤字の数値が多く、特定の商品に限らず
全体的に厳しい状況だったことが分かります。
また、同じ商品であっても
企業によって販売状況が異なっている面もみられます。
携帯電話を例に挙げると、
上新電機の3月売上高は前年同月比115.1%。
しかし、コジマでは同89.7%。
方や2ケタ増、方や2桁減です。
前年の2022年3月の売上高は
上新電機が前年同月比133.4%で、
コジマは同143.8%。
数値に差はありますが、
両社とも販売が好調でした。
それが2023年3月では好不調がハッキリと分かれました。
全体的な家電需要縮小に加え、
企業間格差も見られるようになってきた
といえるでしょう。
では、
個々の商品について推移を見ていきましょう。
といいたいところですが、今回はここまで。
次回予告👇
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