見出し画像

民生用電気機器の国内出荷金額は年度累計103.0%と伸長 -家電全体の傾向編-

今回は、
生活家電や調理家電、空調機器など民生用電気機器の国内出荷動向をお届け🤲🏻
 
国内出荷統計を発表しているのは
JEMA(日本電機工業会)。
会員メーカーによる自主統計調査という形で、
出荷台数と出荷金額を毎月集計しています。
 
参加企業は、
①シャープ、東芝ライフスタイル、パナソニック、日立グローバルライフソリューションズ、三菱電機などの大手メーカー
②ダイキン工業やオムロン、象印マホービン、タイガー魔法瓶などの専業メーカー
③エレクトロラックス・ジャパン、ダイソン、フィリップス・ジャパンなどの外資系メーカー
の計29社です。
 
近年、新興メーカーや海外メーカーが、ネットをメインチャネルとして民生用機器市場に参入するケースが多くなっています。
 
参入メーカーは増加していますが、販売ボリュームとしてはまだまだ既存メーカーの方が圧倒的に多いため、市場を捉える意味では有益な統計データといえます。
 
しかも出荷台数だけでなく、出荷金額も公表していますので単価変動を見るうえでも役立ちます。

全体傾向として出荷単価は前年プラスで推移

まずは、民生用電気機器全体の出荷金額の推移を見てみましょう。

月別出荷金額推移

新製品の発売や需要期があるので、月によって出荷金額は変動します。
2023年1月の出荷金額は約1,758億円で、
前年同月比101.2%。
22年度累計では前年同期比103.0%となっています。
 
JEITAが発表しているAV商品やデジタル機器の出荷は低迷していますが、
JEMA発表の生活家電などの民生用電気機器は堅調に推移していることが分かります。
 
なぜ、民生用電気機器はAV商品やデジタル機器と比べて全体の出荷金額が前年増で推移しているのでしょうか。
 
要因を推測すると、
次のようなポイントが挙げられます。

  1. 原材料の高騰で商品の出荷単価が上昇している。

  2. エアコン、冷蔵庫、洗濯機の3商品合計が出荷金額全体の57.8%を占め、3商品とも好調に推移している。

  3. 各商品とも普及タイプから高付加価値タイプまでラインアップが多く、幅広い層のニーズに対応している。

  4. 趣味嗜好品ではなく、生活必需品の側面が強いため買い替えが必然的に行われる。

1はデジタル機器にも該当しますが、
2以降がデジタル機器との違いといえます。
 
ただし注意が必要なのは、
上記の好調要因が今後も継続するかどうかは分からないということです。
 
例えば、
出荷単価上昇 → 商品価格に反映 → 商品売価上昇 →
購入者の支払い増 → 買い控え
 
このような構図も考えられます。

または、商品売価上昇後に
 
商品売価上昇 → 購入者の支払増 → 安価な商品を選択 → 需要の二極化が進行 → メーカーの採算性が低下 → 技術開発の投資を抑制 → 需要を創出する新機能の搭載減少 → 需要減少
 
という構図も
中長期的視点ではありうるかもしれません。
これは極端な例ですが、
出荷単価の上昇は功罪両面があるわけです。

空気清浄機はコロナ禍での需要増から反動減に

次の表は2023年1月の商品別出荷動向です。
 
JEMAが公表しているのは23商品ですが、
合計金額には公表していないその他の商品も含まれています。
また表では、公表している電気カーペットと電気温水器を割愛しています。

1月出荷動向

JEMAの発表データでは
各商品をランダムに並べていますが、
ここでは商品群として3つに分類してみました。
 
生活家電系の商品は、比較的順調に推移していますが、空調系は苦戦している様子がうかがえ、
キッチン・調理家電は商品によってバラツキが見られます。
 
出荷台数と出荷金額の前年同月比を比較すると、
金額>台数となっている商品が多く、
これは前年よりも単価アップしていることを意味しています。
 
前述の1に加えて、新機能の搭載や機能の進化、大容量化、高額商品の構成比増加などが単価アップの主な理由と考えられます。
 
各商品の中で、空気清浄機とホットプレートの出荷は低迷しています。
 
空気清浄機の出荷が低迷しているのは、

  1. 新型コロナウイルス感染症拡大で需要が急伸長した反動減

  2. 効果が目視できず、必需品としての認知不足

  3. 買い替えの目安が分からず、習慣的な継続使用

などの理由が考えられます。

ホットプレートも同様に、

  1. 巣ごもり需要で急増した出荷台数・金額の反動減

  2.  食生活における外食と中食利用の増加

  3. 焼く、炒めるがメインの調理方法に対する飽き

などの理由がありそうです。

今回はここまで!

次回予告👇🏻

  • エアコンは出荷台数が前年割れで、出荷金額は前年プラス

  • 1月の冷蔵庫の出荷金額は300億円超で1月として9年ぶりの大台に

こんな感じっ。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

BCN+Rは、旧サイト「BCNランキング」オープン以降、15年を超える膨大な量の過去記事が読めます。別刊BCNでは、厳選した過去記事や記者のつぶやきを紹介していきます。