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家電量販店の2022年度売上は前年割れか|後編~商品ごとの推移をみる~

前編はコチラ↓

テレビは技術進化が販売に伴わず需要低迷で前年2桁減

まずはテレビの売上高について。

テレビの売上高推移

ケーズHDの11月だけ前年実績を上回った以外、
全社とも前年ダウンの月が目白押しというのが家電量販店における2022年度のテレビ販売の実情です。
 
年度累計でもエディオンが前年比88.4%で、
ケーズHDが同87.5%、コジマも同88.2%。
いずれも前年2桁減です。
 
ミニLEDや量子ドット、新開発エンジンなど、
高精細映像を映し出すテレビの技術や機能は進化しています。
 
また、ゲーム対応モードや立体音響再生機能、
リモコンでは動画配信サービスのダイレクトボタン増など、テレビ番組視聴以外の機能もアップデートされています。
 
それにも関わらず、
販売実績は大きく落ち込みました。
 
番組やコンテンツ視聴者のニーズや
指向性が変わってきた
のかもしれません。

季節要因による需要変化がハッキリと出たエアコン販売

次は、エアコンです。

エアコンの売上高推移

2022年4月からの販売動向を時系列で見ると、
7~8月と2023年に入ってからが販売不振の時期だったといえるでしょう。
 
夏が暑くなるとエアコンによる冷房需要が増加し、冬が寒くなれば空気を汚さないエアコンの暖房需要が増加します。
 
しかし、2022年夏の気温はあまり上がらず、
2023年冬の気温は逆に気温があまり下がりませんでした。
 
つまり、2022年度のエアコン販売は気温や天候という季節要因により、肝心の商戦期に需要が高まらなかったというわけです。
 
ただし、年度累計では各社とも前年実績プラスとなっており、エアコン需要そのものは決して下がっていないといえます。
 
2023年度は光熱費の上昇による節電志向の高まりや統一省エネラベル改定による多段階評価の変更などがあります。
 
夏に向けて省エネや節電は、購入機種の決定要素として大きなポイントとなりそうです。
 
天候要因という不確定要素による影響を排除すべく、各社ともすでにエアコン販売に注力しています。
 
続いて冷蔵庫と洗濯機についてです。

エディオンとケーズの冷蔵庫、洗濯機は前年プラス


冷蔵庫と洗濯機の時系列推移は次のとおりです。

冷蔵庫の売上高推移
洗濯機の売上高推移

各社を並べてみると、上新電機は冷蔵庫およびクリーナーも含む洗濯機の年度累計が前年割れとなっています。
 
一方、エディオンとケーズHDは年度累計で前年実績を上回りました。
 
白物家電の主要商品である冷蔵庫、洗濯機の販売は比較的順調に推移しているといえるでしょう。
 
とはいえ、
上新電機は前年マイナスとなっています。
 
2021年度の商品別動向はエディオンが非公表ですが、ケーズHDと上新電機は公表しています。
 
この2021年度と照らし合わせると、
ケーズHDは
冷蔵庫が前年比100.3% → 101.4%、
洗濯機は前年比94.8% → 105.7%
でした。
 
同じ比較で
上新電機の冷蔵庫は92.5% → 95.0%、
クリーナーも含む洗濯機は93.5% → 96.9%。
 
上新電機の2021年度実績が前年プラスとなっていたわけではなく、減少からさらに減少へと転じたことが分かります。
 
ただし、
前述のとおり全体売上では前年比99.1%で、
同97.6%のケーズHDより減少率は小さいのです。
 
上新電機の売上高は大別すると家電、情報通信、その他に分解できます。
 
直近で公表されている22年度第3四半期の決算を見ると、冷蔵庫や洗濯機を含む家電の売上高構成比は全売上高の54.5%から51.4%に低下して減収となっています。
 
逆にパソコンや携帯電話を含む情報通信は20.7%から21.8%になり、非家電や修理等のその他も24.8%から26.8%にアップし、いずれも増収でした。
 
決算での数値とPOSデータによる月次速報の数値はイコールではありません。
 
あくまで決算の数値は参考ですが、上新電機は家電セグメントでは苦戦しているものの、家電セグメント以外ではさほど落ち込んでいないのではないかと推測されます。

3月のパソコン販売は前年同月実績に届かず

最後にパソコンの動向です。

パソコンの売上高推移

3月は全社とも前年割れとなりました。
 
1年間を通して見ると、
年度始まりの3カ月は低調で、
秋から冬は好調でした。
 
ただし、好調だった秋から冬はWindows8.1のサポート終了による買い替え需要が顕在化したものです。
 
これは、パソコン特有の一過性の需要といえます。
 
つまり、根本的にパソコン需要が底上げされたわけではなく、OSのサポート終了がなければ全社とも年度実績が前年割れとなっていたかもしれません。
 
パソコン需要の活性化は、製販ともに喫緊の課題といえるでしょう。


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